『ズートピア』バイロン・ハワード&リッチ・ムーア

ズートピア (字幕版)

監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア、ジャレド・ブッシュ(共同監督)
原題:Zootopia
2016年 アメリカ 108分

ピクサー映画『ズートピア』を鑑賞。これは凄い。「擬人化された動物」という設定が、ここまでの必然性/迫真性を帯びている例は、ちょっと他に無いのではないか。
本作に登場する擬人化動物たちは、時に擬人化への疑問を呈し、時に擬人化を解除され、それでも擬人化されて在ることを社会的正義として維持していこうとする……という複雑な仕草を見せる。かなり凝ったものを描いているのに、『ゴッドファーザー』などの名作パロ、ディズニー過去作への自己言及、キッチュなまでのモチーフの反復など、全体としては茶目っ気たっぷりの作りになっている。キャラ萌えも可能なようで、二次創作も見かける。懐の広い作品。
ただ、作劇上のありとあらゆる過剰や不足が、注意深く取り除かれているため(その厳しい手付きには何らかのオブセッションすら感じさせる)、精巧なオートマタの作動を見せられているような気分にもなり、好みは分かれるところかもしれない。