『ロシアン・スナイパー』セルゲイ・モクリツキー

ロシアン・スナイパー(字幕版)

監督:セルゲイ・モクリツキー
原題:Bitva za Sevastopol/Battle for Sevastopol
2015年 ウクライナ/ロシア 123分

セルゲイ・モクリツキー『ロシアン・スナイパー』を鑑賞。いわゆる旧ソ連女性兵士もの。伝説的女性狙撃手を主役に、オデッサの戦いセヴァストポリの戦いが描かれる。狙撃戦描写のクオリティが高く、オデッサ撤退時の空中戦等もVFXを駆使した迫力ある映像に仕上がっている。恋愛沙汰が続くのには多少身構えたが、さほどゲンナリさせられることがなかったのは、そこに描出されているのが見慣れた「女であることを求められる苦痛」ではなく(その要素も入ってはいるが然程シリアスではない)、主に「女であることを奪われる苦痛」であり、それが非常に新鮮だったからかもしれない。ハイヒールや女性用下着を焼かれ、激戦地に放り込まれ、銃を抱えて走り回り、狙撃を愉しむ事態にすら陥りながら、恋人の息子を妊娠したいと願う女たち。それが「反動」でもなく「萌え」でもなく、ただ泥と血と酒にまみれたリアルとして示されているのには目を見張った。勿論、性交相手に選ぶのは、命を預け合う狙撃手仲間のみである。