『スリ〈掏摸〉』ロベール・ブレッソン

スリ ロベール・ブレッソン [Blu-ray]

監督:ロベール・ブレッソン
原題:Pickpocket
1959年 フランス 76分

ロベール・ブレッソン『スリ〈掏摸〉』を鑑賞。ドストエフスキー罪と罰』映画版といった趣で、貧しい青年が超人思想に基づいてスリに手を染めるも、社会的制裁を加えられ、無垢な女性によって魂を救済される、という筋書なのだが、『罪と罰』の真の主役がそのハイテンションな記法であり、物語上のアレコレは後景に退いてすら見えるのと同様に、果てしなく連続するガラス窓と、スリという行為を媒介として生み出される異様に研ぎ澄まされた知覚と、種々の手の群れが織りなす自動運動が画面を覆い尽くしてしまうと、プロットなどはちょっとしたおまけに過ぎなくなる。役者陣の機械人形のような存在感が凄い。